[INTRODUCTION]
原作は「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」(The Wall Street Journal)「20世紀でもっとも謎めいた作家のひとり」(オルハン・パムク)と称されるクラリッセ・リスペクトルによる1977年の同名⼩説。⽇本では2021年に初邦訳され、第8回⽇本翻訳⼤賞を受賞し、⼤きな反響を呼んだ。
監督のスザーナ・アマラウは、9⼈の⼦どもを育てたのちニューヨーク⼤学で映画制作を学んだ異⾊の経歴を持つ、ブラジル映画における⼥性監督の先駆者。本作は、彼⼥が50代で完成させた初の⻑編監督作である。原作では謎に包まれたままの主⼈公マカベーアを描くにあたり、アマラウは「ただ“⼈⽣”を⾒ていただけ。⾃分⾃⾝の、そして毎朝5時に家を出るたくさんの⼥の⼦たちの」と語る。貧しく、報われない、社会の中で⾒過ごされてきた存在を、⾎の通った⼀⼈の⼈間として瑞々しく描き出した。
ブラジル最⾼峰の映画祭のひとつであるブラジリア映画祭で主要6部⾨を受賞、第36回ベルリン国際映画祭では主演マルセリア・カルタッショが銀熊賞(⼥優賞)に輝くなど、国内外で⾼い評価を獲得。
「からっぽの彼⼥のみすぼらしい⽣の中に、哀しくも美しい詩情が浮かび上がる。いつしか、我々は彼⼥に⼼を奪われていく」(The Washington Post)「この映画には、胸しめつける痛みと “啓⽰”にも似た特別な⼒がある」(The New Yorker)などと称賛され、近年ではブラジル映画批評家協会により「ブラジル映画史上ベスト100」にも選出されている。また、名匠ウォルター・サレス監督作『セントラル・ステーション』でブラジル⼈として初めてアカデミー賞主演⼥優賞にノミネートされ、『アイム・スティル・ヒア』への出演も記憶に新しい名優フェルナンダ・モンテネグロが占い師役で出演している。