愛すべきアキ・カウリスマキ【4/26~5/16】*特集上映

現在上映中の作品
[上映日程]4/26~5/16(休映:4/30、5/7、13)

最新作『枯れ葉』の公開を記念して、
アキ・カウリスマキ監督作品を特集上映!!

「労働者3部作(『バラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』)に連なる”第4作目”」と監督が位置付ける『枯れ葉』は、『街のあかり』のヤンネ・フーティアイネンや『希望のかなた』のヌップ・コイヴが重要な役で登場するなど、他の作品との関連が随所に見られる集大成的な作品でもあります。有機的に関連しあうカウリスマキ・ユニヴァースをこの機会に劇場でご堪能ください。

[上映作品]
『罪と罰』 (1983)
『カラマリ・ユニオン』 (1985年)
『パラダイスの夕暮れ』 (1986年)
『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』 (1987年)
『真夜中の虹』 (1988年)
『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』 (1989年)
『マッチ工場の少女』 (1989年)
『コントラクト・キラー』 (1990年)
『ラヴィ・ド・ボエーム』 (1991年)
『愛しのタチアナ』 (1993年)
『トータル・バラライカ・ショー』 (1993年)
『レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う』 (1993年)
『浮き雲』 (1996年)
『白い花びら』 (1999年)
『過去のない男』 (2002年)
『街のあかり』 (2005年)
『希望のかなた』 (2017年)

配給:ユーロスペース

[上映時間]

作品紹介

『罪と罰』 Rikos ja rangaistus
[1983年/フィンランド/カラー/93分]
製作:ミカ・カウリスマキ
脚本:アキ・カウリスマキ、パウリ・ペンッティ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マルック・トイッカ、アイノ・セイッポ、エスコ・ニッカリ、マッティ・ペロンパー
(C)Sputnik Oy

食肉解体工場に勤める男が、恋人をひき逃げした男を射殺した。現場を目撃した女は男をかばい、二人の間には奇妙な共犯関係が生まれていく。ドストエフスキーの「罪と罰」を原作に、孤独な殺人者の葛藤を描写の力で描き出した野心漲る長篇デビュー作。

『カラマリ・ユニオン』 Calamari Union
[1985年/フィンランド/モノクロ/80分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー、プンッティ・ヴァルトネン、サッケ・ヤルヴェンパー、ピルッカ=ペッカ・ペテリウス、マト・ヴァルトネン、サカリ・クオスマネン
(C)Sputnik Oy

「カラマリ・ユニオン」の15 人のフランクたちが貧しく息苦しい町を出て、希望の地エイラへと向かおうと決起する。だがその旅路は謎だらけのまま、フランクたちは次々と倒れてゆく…。即興的な演出で、遊び心とユーモア、そして毒気が存分に発揮された第二作。

『パラダイスの夕暮れ』 Varjoja paratiisissa
[1986年/フィンランド/カラー/74分]
製作:ミカ・カウリスマキ
脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー、カティ・オウティネン、サカリ・クオスマネン、エスコ・ニッカリ
(C)Sputnik Oy

ゴミ収集人のニカンデルとスーパーのレジ係イロナの悲哀に満ちた恋物語。現実の厳しさに洗われながらぎくしゃくと進展する恋の行方を、ヘルシンキの景色や挿入歌が雄弁に物語る初期の傑作。カウリスマキは「『枯れ葉』は『パラダイスの夕暮れ 2.0』」と発言している。

『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』 Hamlet liikemaailmassa
[1987年/フィンランド/モノクロ/89分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ピルッカ=ペッカ・ペテリウス、カティ・オウティネン、エリナ・サロ
(C)Sputnik Oy

シェークスピアの「ハムレット」を大胆に翻案し、陰謀、毒殺、父の亡霊、オフェリアの水死といった骨子を残しながら、ハムレットを造船所の御曹司に仕立てた意欲作。ラストには原作にはない驚くべき結末が用意され、人間の計り知れない暗部が口を開ける。

『真夜中の虹』 Ariel
[1988年/フィンランド/カラー/73分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:トゥロ・パヤラ、マッティ・ペロンパー、スサンナ・ハーヴィスト、エートゥ・ヒルカモ
(C)Sputnik Oy

鉱山の閉鎖と父の自殺に直面した炭鉱夫カスリネンは、父の遺したオープンカーで南へ向かうが、暴漢に金を奪われ一文無しに…。フェードアウトで繋げられる不幸な出来事の連鎖に、ふと挟まれるユーモア。不幸に見舞われ続ける男の姿は『過去のない男』の原点とも言える。

『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』 Leningrad Cowboys Go America
[1989年/フィンランド+スウェーデン/カラー/79分]
脚本:サッケ・ヤルヴェンパー、アキ・カウリスマキ、マト・ヴァルトネン
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー、カリ・ヴァーナネン、サッケ・ヤルヴェンパー、サカリ・クオスマネン、ジム・ジャームッシュ
(C)Sputnik Oy

恐ろしく長いリーゼントにペンギンブーツの売れないバンド、レニングラード・カウボーイズが、悪徳マネージャー、ウラジミールに振り回され、極寒のツンドラ地帯から、ニューヨーク、果てはメキシコへとむかう。可笑しくも悲しい破天荒なロード・ムービー。

『マッチ工場の少女』 Tulitikkutehtaan tyttö
[1989年/フィンランド+スウェーデン/カラー/69分]
脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン、エリナ・サロ、エスコ・ニッカリ、ヴェサ・ヴィエリッコ、シル・セッパラ、レイヨ・タイパレ
(C)Sputnik Oy

マッチ工場に勤め、母とその愛人を養う憂鬱な日々を送る、地味でモテない少女イリスの物語。台詞をほとんど用いず、画面の連鎖でイリスの不幸な境遇を浮かび上がらせる演出は、『街のあかり』に受け継がれている。洗練と毒の極まった初期の代表作。

『コントラクト・キラー』 I Hired a Contract Killer
[1990年/フィンランド+イギリス+ドイツ+スウェーデン/カラー/80分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ジャン=ピエール・レオー、マージ・クラーク、ケネス・コリー、セルジュ・レジアニ、ジョー・ストラマー
(C)Sputnik Oy

フランスを離れロンドンの水道局で働くアンリは、失業の絶望から“コントラクト・キラー”に自身の殺しを依頼。だがその途端、花売り娘と恋に落ち…。ジャン=ピエール・レオーを主演に、『枯れ葉』同様、過去の偉大な映画へのオマージュを詰めこんだ悲喜劇。

『ラヴィ・ド・ボエーム』La Vie de bohéme
[1991年/フランス+イタリア+スウェーデン+フィンランド/モノクロ/103分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー、イヴリヌ・ディディ、アンドレ・ウィルムス、カリ・ヴァーナネン
(C)Sputnik Oy

売れない作家のマルセル、アルバニア人の画家ロドルフォ、音楽家のショナール。パリの片隅に暮らす若く貧しい芸術家3人のほろ苦い青春。フィンランド在住の日本人である篠原敏武が歌う、エンディングの「雪の降る街を」が涙を誘う『ル・アーヴルの靴みがき』の前日譚。

『愛しのタチアナ』 Pidä huivista kiinni, Tatjana
[19933年/フィンランド/モノクロ/62分]
製作:アキ・カウリスマキ
脚本:アキ・カウリスマキ、サッケ・ヤルヴェンパー
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン、マッティ・ペロンパー、キルシ・テュッキュライネン、マト・ヴァルトネン
(C)Sputnik Oy

ふとしたことから旅にでた仕立屋ヴァルトと修理工レイノは、旅の途中で二人の女性クラウディアとタチアナに出会う。ゆったりとした車での道行は、無口な男たちと、呆れながらも彼らを見守る女たちの距離を近づけていく…。

『トータル・バラライカ・ショー』 Total Balalaika Show
[1993年/フィンランド/カラー/55分]
製作:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:レニングラード・カウボーイズ、レッド・アーミー・アンサンブル
(C)Sputnik Oy

冷戦直後の1993年6月、レニングラード・カウボーイズと旧ソ連退役軍人らで結成されたレッド・アーミー・アンサンブルとの合同コンサートのライブ・フィルム。ロックからクラシックまで驚異のアレンジで次々と演奏していく、圧巻と感動の55分。

『レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う』 Leningrad Cowboys Meet Moses
[1993年/仏+伊+スウェーデン+フィンランド/カラー/94分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:トゥイスト・トゥイスト、ベン・グランフェルト、サッケ・ヤルヴェンパー、マト・ヴァルトネン、シル・セッパラ、マッティ・ペロンパー、カリ・ヴァーナネン、アンドレ・ウィルム
(C)Sputnik Oy

旧約聖書をもとにした『ゴー・アメリカ』続篇。成功から一転、テキーラの飲みすぎで崩壊したレニングラード・カウボーイズが、謎の男モーゼの命令で故郷シベリアを目指す。ヨーロッパを多彩な演奏とともに横断する、荒唐無稽にしてメランコリックな痛快作。

『浮き雲』 Kauas pilvet karkaavat
[1996年/フィンランド/カラー/95分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネン、エリナ・サロ、サカリ・クオスマネン、エスコ・ニッカリ、サッケ・ヤルヴェンパー
(C)Sputnik Oy

名門レストランの給士長イロナと路面電車の運転手ラウリ夫婦はそろって失業してしまう。職も見つからず災難が続く中、イロナは夫とレストランを開こうと決意する。ラストに今までにない希望が訪れる本作以降、カウリスマキ作品には人間的な温かみが深化してゆく。

『白い花びら』 Juha
[1999年/フィンランド/モノクロ/音楽付きサイレント/78分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
音楽:アンッシ・ティカンマキ
出演:サカリ・クオスマネン、カティ・オウティネン、アンドレ・ウィルムス、エリナ・サロ、ピートゥ
(C)Sputnik Oy

20世紀最後の音楽付きサイレント映画。仲睦まじいキャベツ農家の夫婦が、都会から来た男によって引き裂かれるという古典的なメロドラマを、サイレントの効果で寓話的に描きながら、人間の弱さと許しを見つめ、その悲劇性を鮮やかに浮き彫りにする。

『過去のない男』 Mies vailla menneisyyttä
[2002年/フィンランド/カラー/97分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、ユハニ・ニエミラ、アンニッキ・タハティ、タハティ
(C)Sputnik Oy

暴漢に襲われ記憶を失った男。過去をなくした男は都会の片隅で人々に助けられながら、ささやかな人生を重ねていくが、やがて男は一人の女性と出会う。ユーモラスで牧歌的でありながらも人生の苦渋を浮かび上がらせた、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の大ヒット作。

『街のあかり』 Laitakaupungin valot
[2005年/フィンランド/カラー/79分]
製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤルヴェンヘルミ、マリア・ヘイスカネン、イルッカ・コイヴラ、パユ
(C)Sputnik Oy

家族も恋人もなく独りで生きる男の前に、一人の美しい女が現れる。だが幸せな時もつかの間、彼女はマフィアの情婦だった…。滑稽なまでに悲劇を受け入れる男の孤独を冷徹に描きながら、やがて灯るかすかな希望が涙を誘う。主演フーティアイネンは『枯れ葉』で主人公の親友を演じている。

『希望のかなた』 Toivon Tuolla Puolen
[2017年/フィンランド/カラー/98分]
脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:シェルワン・ハジ、サカリ・クオスマネン、イルッカ・コイヴラ、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ
(C)Sputnik Oy

生き別れの妹を探して、ヘルシンキへと流れついたシリア難民の青年。彼へ手を差しのべたのは、人生に行き詰ったレストランオーナーだった。この偶然の出会いが、二人に希望の光をもたらしてゆく…。抜群のユーモアはそのままに、難民危機を正面から扱い新境地を開くも、突然の引退宣言で世界中のファンを悲嘆に暮れさせた。

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