ミニアチュールの詩学 チュルヒャー兄弟「動物三部作」【11/27~】*特集上映

今後の上映作品
[上映日程]2026年11月27日(金) 〜 *休映:未定

“ 小さな部屋に、世界はあふれる。”

「ジャック・タチとロベール・ブレッソンの出会い」と評された
スイス出身の双子の映画作家。
唯一無二の「動物三部作」、待望の日本劇場公開。

猫が歩き、蜘蛛が巣を張り、雀が出口を探す。家族が集うベルリンのアパート。引っ越しの 荷物が行き交う二つの部屋。姉妹とその家族が集う、森のほとりの古い家──。
ラモン&シルヴァン・チュルヒャーの映画では、世界はいつも、見慣れた小さな場所から始まります。静止したカメラが見つめるその内部では、人々の視線や身体、言葉と沈黙、家具や家電、食器の音や機械の唸り、扉の向こうの気配までが互いに反応し合います。誰かが歩けば、別の誰かが立ち止まる。何気ないひと言が親密さを生むこともあれば、小さな傷となって残ることもある。人と物と動物が精密な運動を始めるとき、ありふれた日常は、家庭内のバレエとも呼ぶべき独特の映画空間へと変貌します。
三作品をつなぐ猫、蜘蛛、雀は、それぞれ異なる自由のかたちを映し出します。野性をあとにした猫。さまざまな場所に自らの住処を編む蜘蛛。閉ざされた煙突から空への出口を探す雀。その姿は、家族や友情、社会的な役割のなかにとどまりながら、より自由な生を求める人間たちと静かに響き合います。
2025年の東京フィルメックスでは、「特集:ラモン・チュルヒャー 『動物』三部作の世界」として、『ストレンジ・リトル・キャット』『ガール・アンド・スパイダー』『煙突の中の雀』の三作品を上映。ほぼ満席となる回もあるなど高い関心を集め、三部作をまとめてスクリーンで観る機会への期待の高さを印象づけました。
これまで限られた上映機会のなかで熱心な映画ファンを魅了してきたチュルヒャー兄弟。
その三作品が、今回初めて「動物三部作」として本格的な全国劇場公開を迎えます。

[上映作品]
『ストレンジ・リトル・キャット』(2013)
『ガール・アンド・スパイダー』(2021)
『煙突の中の雀』(2024)

提供:JAIHO
配給:グッチーズ・フリースクール

[公式サイト]
animaltrilogy.com

[上映時間]
*準備中

FILMS


© Deutsche Film- und Fernsehakademie Berlin 2013

『ストレンジ・リトル・キャット』
THE STRANGE LITTLE CAT
[2013年/ドイツ/ドイツ語/1:1.66/カラー/72分]
監督・脚本・編集・サウンドデザイン:ラモン・チュルヒャー
出演:イェニー・シリー、アンヨルカ・シュトレッヒェル、ミア・カサロ、ルク・プファフ、マティアス・ディットマー、アルミン・マレフスキ

[STORY]
カリンは、両親と幼い妹クララが暮らすベルリンのアパートを訪れる。その晩には親戚たちも集まり、皆で夕食をとる予定だ。洗濯機の修理を待ち、台所のテーブルを囲み、オレンジの皮を使って実験をする。肺について語り、わざと引きちぎられたボタンを縫い直す。猫と犬が部屋を歩き、人々は出入りを繰り返す。一見すると、何も特別なことは起こらない。しかし、小さな行為が次の行為を呼び、一つの言葉が別の言葉へと連なっていくうちに、ありふれた家族の一日は、奇妙で精密な連鎖反応へと変わっていく。


© 2021 Beauvoir Films / Zürcher Film / SRF

『ガール・アンド・スパイダー』
THE GIRL AND THE SPIDER
[2021年/スイス/ドイツ語/1:1.66/カラー/98分]
監督・脚本:ラモン&シルヴァン・チュルヒャー
編集:ラモン・チュルヒャー、カタリーナ・ベンド
出演:ヘンリエッテ・コンフリウス、リリアーネ・アムアト、ウルシナ・ラルディ、フルリン・ギガー、アンドレ・M・ヘニッケ、ザビーネ・ティモテオ

[STORY]
リザは、長年マーラらと暮らしてきたシェアハウスを出て、初めて自分だけのアパートへ引っ越す。変化を楽しみにするリザとは対照的に、取り残されるマーラの感情は激しく揺れる。引っ越し前日、段ボール箱が詰められ、衣類が仕分けされ、家具が新居へ運び込まれる。リザの母アストリッド、引っ越し作業員のユレクとヤン、新しい隣人カレンらが出入りするなか、切望、密かな欲望、嫉妬、緊張が表面へ浮かび上がる。その夜、旧居では送別パーティーが開かれる。熱に浮かされたような一夜を経て引っ越し当日を迎えると、マーラのつながりを求める欲望はさらに強まり、部屋そのものが切望に震える一つの身体へ変わっていく。


© 2024 Zürcher Film / SRF / SRG SSR

『煙突の中の雀』
THE SPARROW IN THE CHIMNEY
[2024年/スイス/ドイツ語/1:1.66/カラー/117分]
監督・脚本・編集:ラモン・チュルヒャー
サウンドデザイン:ペーター・フォン・ジーベンタール、ラモン・チュルヒャー
製作:シルヴァン・チュルヒャー
出演:マレン・エッゲルト、ブリッタ・ハンメルシュタイン、ルイーゼ・ハイヤー、アンドレアス・デーラー、ミリアン・ツェルツァヴィ、レア・ゾーイ・フォス

[STORY]
カレンは夫と子どもたちとともに、のどかな場所に建つ、彼女が幼少期を過ごした家で暮らしている。夫の誕生日を祝うため、カレンの妹ユーレが一家で訪ねてくる。自由奔放なユーレは、亡き母を思い起こさせるこの家を幼いころから嫌っていた。カレンの娘ヨハンナや息子レオンも母に反発し、家の内部にはカレンを引きずり下ろそうとする力学が生まれる。さらに、森のはずれに暮らし、毎日カレンの犬を散歩させる謎めいた女性リフが、夫と秘密の親密さを分かち合っている。家が人々の気配で満たされ、煙突に迷い込んだ雀が自由への出口を探すなか、カレンの緊張は高まっていく。やがてすべてが頂点に達し、新しいもののための場所をつくるように、古いものが破壊される。

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