少しの愛だけでも【12/11~】*特集「ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー ラブ&デスペア」

今後の上映作品
[上映日程]2026年12月11日(金) 〜 *休映:未定

愛と「私」を探し求めた果てにあるもの
鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの幻の2傑作が遂に日本劇場初公開!

ヴェルナー・ヘルツォーク、アレクサンダー・クルーゲ、そしてヴィム・ヴェンダースと並び「ニュー・ジャーマン・シネマ」を代表するライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。従来のモラルや映画の規範を過激に飛び越えたファスビンダーは、1970年代、破竹の勢いで時代の寵児へと登り詰めていった。その中で、愛という名の「支配と搾取」を冷徹に暴き出した『少しの愛だけでも』とナチス台頭期のベルリンを舞台に他者になり替わろうと完全犯罪を目論む男を描いた『デスペア 光明への旅』は、彼の毒烈な作家性が最も鮮明になった到達点である。
2作品の発表から長い年月が経過した、2026年。絶え間なく紛争が続き、社会は不穏に揺れている。そんな時代に、愛とは? 「私」とは? 今、改めてこの2作と対峙することは、私たちの視界を──決して優しくはないが、確かな強度をもって──開かせてくれる、痛烈な映画体験となるだろう。

配給:アイ・ヴィー・シー
宣伝協力:XHORA

[公式サイト]
fassbinder2026

『少しの愛だけでも』Ich will doch nur, dass ihr mich liebt
[1975-76年/西ドイツ/4:3/カラー/105分]
出演:ヴィートス・ツェプリヒャール、エルケ・アーベルレ、アレクサンダー・アラーゾン
©️ Bavaria Media International, All Rights Reserved.

“ ただ愛してほしいだけなんだ ”

若くして結婚したふたり、満たされぬ心が運命を狂わす
監督の少年時代を投影させた隠れた傑作

愛の搾取を痛烈に描いた名篇。原作はクラウス・アンテスとクリスティアーネ・エアハルトによる実在の犯罪事例を記録した『無期懲役』。脚本はファスビンダー自身が担当。テレビ映画として16ミリフィルムで製作された。
主人公の青年は「他者から愛され、認められたい」という強迫観念から、過剰な献身と労働に身を投じ、精神的に追い詰められていく。ファスビンダーの全キャリアの中で最も私的な作品と評され、彼自身の過酷な少年時代が色濃く投影されている。さらに巨匠ダグラス・サーク監督などのハリウッド・メロドラマから強い影響を受け、ドイツの戦後社会の問題やそこに生きる人々を描き出した。撮影はファスビンダー作品を多く手がけた名手ミヒャエル・バルハウスが担当。ミュンヘンの地下鉄や工事現場などの灰色のインダストリアルな空間と色鮮やかな花束や家具のコントラストが鮮烈な印象を残す。その他、ファスビンダーの元妻のイングリッド・カーフェンら常連キャストの皮肉な出演も注目に値する。
現代社会の裏側にある愛という名の支配構造に狂わされていく人間の本質を鋭く抉る必見の作品。

[上映時間]
*準備中

▼同時公開!『デスペア 光明への旅』についてはこちらから

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー|RAINER WERNER FASSBINDER

1945年5月31日、南ドイツのバート・ヴェーリスホーフェン生まれ。51年に両親が離婚し、母リーゼロッテの許に引き取られる。16歳で中退した後は、父親の元に身を寄せて、アルバイトをしながら俳優の勉強を始める。そしてこの時期ベルリンに新設されたドイツ映画テレビアカデミーの入学試験を受験。不合格となる。その後、数本の短編映画を自主制作した後、67年より劇団「アクション・テアター」に所属。68年には仲間と共に劇団「アンチテアター」を設立し、俳優・演出・作家として活躍した。同時にこのメンバーによる挑発的かつ実験的な長編映画制作が始まる。
1971年アンチテアター解散の年、ダグラス・サークのメロドラマ映画に感銘を受ける。芸術的に様式化され、しかも大衆に受ける映画を作ろうと志し、『四季を売る男』(72)、『エフィ・ブリースト』(72-74)等の代表作を生みだした。1979年『マリア・ブラウンの結婚』の成功によりニュー・ジャーマン・シネマをリードする存在として幅広く認められるようになる。そして同年、念願の企画である『ベルリン・アレクサンダー広場』映画化を実現。その後『リリー・マルレーン』(81)や『ケレル』(82)など国際的スターが共演する大作映画を撮り上げた。1982年6月10日に急死、37歳没。
短い生涯の中で40本以上の作品を発表。女性の抑圧、同性愛、ユダヤ人差別、テロリズムなどスキャンダラスなテーマを多く扱い、ドイツ国内では非常に激しい論議を巻き起こしてきたが、「ニュー・ジャーマン・シネマ」を牽引したひとりとして今なお高く評価されている。

ピックアップ記事

関連記事一覧

Facebook