21世紀のジャン=リュック・ゴダール わたしたちの映画 2001-2010【7/17~】*特集上映

今後の上映作品
[上映日程]2026年7月17日(金) 〜 *休映:未定

世界映画史に多大な影響を与えた巨匠ジャン=リュック・ゴダール
歴史を 人を 見る 想像する———。
21世紀の初めに唯一無二の天才が遺した4つの名篇がスクリーンによみがえる

2022年、ゴダールがこの世を去ってから4年が経とうとしている。彼が遺した多くの名作たちは、今なお私たちの心に新鮮な驚きと深い感動を与えてくれる。従来の映画の規範を軽やかに飛び越えてみせたゴダールは、21世紀に入ってから「デジタルビデオ」という新たな表現を獲得し、もっと自由にさらに刺激的になってゆく。そして1990年代中期からゴダールは人の歴史を主題とした作品づくりを行うようになっていった。文明の起源とは、なぜ人はいがみ合うのか?

戦争と殺戮の歴史、そしてその先の人類の未来をめぐるゴダールの探究と思考の旅は、21世紀に入るとさらに深まっていく。ファシズムが台頭した第二次世界大戦、イギリスの関与により対立構造を決定付けた中東戦争、民族・宗教の対立が最悪の内戦へと発展したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、「テロとの戦い」を名目に引き起こされたイラク戦争…。今回上映される『愛の世紀』(01)『映画史特別編 選ばれた瞬間』(02)『アワーミュージック』(04)『ゴダール・ソシアリスム』(10)の4作品は、ゴダールの歴史への敬意とその眼差しが鮮明に投影された作品である。

日本での劇場初公開から約20年が経った今、果たしてあれから世界は善くなっているだろうか? 再びこれらの「21世紀のゴダール映画」たちは、現在を生きる私たちをそっと突き動かし、心にやさしい希望を灯してくれる。

[上映作品]
『愛の世紀』(2001)【4K修復版】 
『映画史特別編 選ばれた瞬間』(2002)【HD版】
『アワーミュージック』(2004)【4K修復版】
『ゴダール・ソシアリスム』(2010)【2K版】

配給:アイ・ヴィー・シー
宣伝協力:XHORA

[公式サイト]
godard21st

[上映時間]
*準備中

FILMS

『愛の世紀』【4K修復版】Éloge de l’amour
[2001年/フランス・スイス/モノクロ・カラー/4:3/99分]
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ブリュノ・ピュツリュ、セシル・カンプ、ジャン・ダビィー
© Avventura Films/Peripheria/Canal+/Arte France Cinéma/Vega Film/TSR

愛の幻影をさがして 時を越える旅がはじまる
21世紀の幕開けにゴダールが描いたものは、ずばり「愛」。混沌とした現代世界に愛を信じられるのか? そもそも愛とは何だろう? 魔法のように艶やかなモノクロームフィルムで映し出されるパリの街並が、やがてデジタルビデオによる極彩色溢れる強烈なブルターニュ地方の風景へと姿を変える。前半パートは35ミリフィルム、後半パートはデジタルビデオで展開する映画のあり方を革新させたキャリアの重要作。
【4K修復版国内初上映】

★2001年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
★2002年アカデミー外国語映画賞スイス代表

『映画史特別編 選ばれた瞬間』【HD版】Les Moments Choisis des Histoire(s) du Cinéma
[2002年/フランス・スイス/4:3/モノクロ・カラー/83分]
監督・脚本・出演:ジャン=リュック・ゴダール
©2000 Gaumont

ゴダールの「映画」をめぐる めくるめく思考
豊饒なイメージとサウンドで紡ぎだすゴダールにしかなし得なかった壮大な映像モニュメント『映画史』。本作は1988-98年の10年をかけて完成にこぎつけた計5時間全8章からなる超大作を、新たな論点と独自の視点を用いて再構築、劇場公開用作品として35ミリフィルムで製作。ゴダールの映像工房から次々と放たれる光、色、音、言葉たち。『映画史』の真髄を突き詰めた、誰も知らない「映画の歴史」がスクリーンに浮かび上がる。

★2005年カンヌ国際映画祭特別上映

『アワーミュージック』【4K修復版】Notre Musique
[2004年/フランス・スイス/4:3/カラー/80分]
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ナード・デュー、サラ・アドラー、ジャン=リュック・ゴダール
© 2004 AVVENTURA FILMS – PERIPHERIA – FRANCE 3 CINEMA – VEGA FILMS

傷の癒えない街サラエヴォから 世界の平和を祈る感動作
紛争によって破壊された哀しみの街サラエヴォ。講演で招かれてこの街に降り立ったゴダールは、復興途上のこの地に歴史の結節点を見出す。それは人類の争いと虐殺の歴史でもあった。アメリカとイラク、イスラエルとパレスチナ。対する二つの事物を並列させ、つながりを持たせ、語る。それはゴダールにとって映画の考え方そのものでもある。ダンテの「神曲」を下敷きにした「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の全3章構成で、人の営みを優しく見つめる胸を打つ最も美しいゴダール映画。
【4K修復版国内初上映】

★2004年ヨーロッパ映画賞 女優賞、脚本賞ノミネート
★2004年サン・セバスチャン国際映画際 国際映画批評家連盟賞受賞

『ゴダール・ソシアリスム』【2K版】Film Socialisme
[2010年/フランス・スイス/16:9/カラー/102分]
出演:カトリーヌ・タンヴィエ、クリスチャン・シニジェ、アガタ・クーチュール
© 2010 VEGA FILM, RTS, CANAL+

地中海を航行する豪華客船に渦巻くミステリー、ところで「民主主義デモクラシー」って何?
前作から6年ぶりの長編は、ゴダールにとって初の全編デジタル撮影で挑んだ刺激的な痛快作。スペイン内戦のどさくさで行方知れずとなった黄金をめぐるミステリーからフランスに暮らす一家の政治喜劇、やがて映画の眼差しは混沌とした現代ヨーロッパと人類の歴史へと向かう。様々な映像フォーマットが渾然一体となり、映像・言葉・音、そしてデジタルノイズまでも自由自在に映画に取り込んで圧倒的な密度と濃密さで繰り広げられる反骨精神満載の映像詩。

★2010年カンヌ国際映画祭<ある視点部門>出品
★2010年LA批評家協会賞「インディペンデント/実験的作品賞」受賞

ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard 1930-2022

1930年、医者の父親と文学好きの母親のもとにパリで生まれる。パリでアンリ・ラングロワによるシネマテークで、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、ジャック・リヴェットらと映画漬の日々を送り、アンドレ・バザン主宰の「カイエ・デュ・シネマ」誌にて映画批評を執筆するようになる。
1960年『勝手にしやがれ』で長編監督デビュー。その革新的な映像は世界に衝撃を与え、世界中から注目を集める。女優アンナ・カリーナとの結婚と離婚を経験したものの、ヌーヴェルヴァーグ時代を牽引し続ける。68年の五月革命の後、「ジガ・ヴェルトフ集団」を結成し商業映画との決別を宣言、政治的内容の濃い作品を発表する。
1973年にパリを離れ、パートナーのアンヌ=マリー・ミエヴィルと共に、映画製作会社「ソニマージュ(音響映像)」を設立し、フィルムだけでなくビデオ映像を積極的に取り入れた作品製作を行う。『勝手に逃げろ/人生』(80)で商業映画への復活が話題となり、80年代から90年代にかけてスイスを拠点に活動。その後もフィルム作品とビデオ作品を交互に、もしくは同時に製作し、3Dなど新たな技術を取り込みながら映像と音の可能性を探究し続けた。
2022年9月13日死去、91歳没。

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