戦後80年 内田也哉子ドキュメンタリーの旅「戦争と対話」【10/17~30】*戦後80年記念特別上映

今後の上映作品
[上映日程]2025年10月17日(金) 〜 30日(木) *休映:10/20、28、ほか

旅の起点は、「無言館」
テーマは、「戦争と対話」
旅人は、内田也哉子

「無言館」から始まる内田也哉子の旅は、戦後80年の日本を見渡し、未来へのメッセージを届ける。

2024年、長野県上田市の戦没画学生の作品を集めた美術館「無言館」の共同館主となった内田也哉子。旅人の内田が、信越放送のドキュメンタリー番組を手掛かりに旅をし、戦争とそれに連なる戦後社会のありようを考え、未来へとつながる何かを感じ取る旅…。テーマは、「戦争と対話」。平和とは、それを守ろうとする人々の強い意志とたゆまぬ努力の先に続いてゆくもの…。しかし、世界はいま…。ロシア・ウクライナ、イスラエル・パレスチナ、インド・パキスタン…、そして、経済においては大国の自国第一主義が跋扈する時代である。
本シリーズの企画・プロデュースをつとめるのは、東海テレビで『人生フルーツ』、『さよならテレビ』など、話題のドキュメンタリーを制作してきた阿武野勝彦。テーマ音楽は、 『Dr.コトー診療所』、NHK大河ドラマ『篤姫』、『鬼平犯科帳』新シリーズの吉俣良が担当。戦後80年を迎えたいま、過去の経験から、より多くのことを、より深く学ぶ機会として、6本のシリーズを上映する。
#1の対話人はフォークシンガーの森山直太朗。戦時中の画学生たちが胸に秘めていたであろう思いと表現の可能性を。#2ではタレント・YOUが一方向に流れ始めた時の空気の壊し方を。#3ではジャーナリスト・青木理が、日朝関係に流れる感情のエポックを。#4ではミュージシャン・坂本美雨が、命への慈しみを。#5では、映画『◯月◯日、区長になる女。』の主人公・東京の杉並区長の岸本聡子が諍いと和解を。#6は沖縄の佐喜眞美術館に飛び、大作「沖縄戦の図」を前に佐喜眞道夫館長とアートの可能性を語り合う。

企画・プロデュース:阿武野勝彦
ディレクター:中村育子
プロデューサー:手塚茶典、三瓶祐毅
映画担当:笠原公彦
テーマ音楽:吉俣良
製作:信越放送・日本映画放送
配給:信越放送
配給協力:ポレポレ東中野

<シリーズ詳細>
#1『無言館・レクイエムから明日へ』対話/フォークシンガー 森山直太朗
#2『少年たちは戦場へ送られた』対話/タレント YOU
#3『再会~平壌への遠い道~』対話/ジャーナリスト 青木理
#4『遼太郎のひまわり』対話/ミュージシャン 坂本美雨
#5『78年目の和解』対話/杉並区長 岸本聡子
#6『いのちと向き合う』対話/佐喜眞美術館・館長 佐喜眞道夫

[上映時間]
*準備中

「戦争と対話」#1

『無言館・レクイエムから明日へ』対話/フォークシンガー 森山直太朗
[2006年/日本/96分]
ディレクター:池上英樹 プロデューサー:岩井まつよ

★第2回日本放送文化大賞グランプリ受賞作

[INTRODUCTION]
東京、自宅にて、内田也哉子。長野県にある戦没画学生の絵画を集めた美術館・無言館の共同館主に就任。大役を引き受けた思い、そして戦争への眼差しは変わっただろうか。戦後80年、人々は戦争とどう向き合ってきたのか、語り継いできたのか。 信越放送が2006年に制作したドキュメンタリー『SBCスペシャル 無言館・レクイエムから明日へ』を全編放送。 旅人、内田也哉子が無言館を訪れる。「本当はあってはならない美術館なんです」、共同館主の窪島誠一郎と巡りながら、その願いを受け止めていく。かつて無言館を訪れた樹木希林が若者にエールを送る様子や、ドキュメンタリーの遺族のその後を訪ねる取材を織り交ぜ、初回放送から20年近くが経った無言館の変遷を辿る。そして、対話のお相手フォークシンガーの森山直太朗を訪ね、モニターしたドキュメンタリーのこと、絵画、アート、そして戦争と表現について語り合う。

[STORY]
戦争で命を奪われ、画家への夢を断たれた若者たちの絵を展示する長野県上田市の美術館「無言館」。館主の窪島誠一郎さんが全国各地の遺族を訪ね歩き、預かってきた画学生たちの「命の証」である。しかし、遺族も高齢化が進み、あるいは亡くなり、作者のことを語ることができる人が減っている。同時に長い年月がたち、画は痛み、汚れ、劣化が進んでいる。それは、人の命をいともたやすく奪う戦争が、遠い過去のものとなり、記憶が風化していく今の社会状況を象徴しているかのようだ。そうしたなか、窪島さんは残された絵の修復に取り組み、あらたな収蔵作品を求め全国各地を訪ね歩いている。「こういう時代だからこそ、彼らが生きていた証を守ることで、命の大切さを伝えていかなければならない」。そう語る窪島さんの活動を追い、風化させてはならない命の尊さを伝える。

「戦争と対話」#2

『少年たちは戦場へ送られた』対話/タレント YOU
[2010年/日本/73分]
ディレクター:手塚孝典 プロデューサー:田中哲郎 語り:吉岡秀隆 ナレーション:山根基世 

★日本民間放送連盟賞テレビ教養 優秀賞

[INTRODUCTION]
戦争中、満蒙開拓青少年義勇軍として満州国へ送り出された10代半ばの少年たち。「満洲へ行けば地主になれる」、貧しい農家の子どもたちは、希望を抱いて海を渡った。教師だった頓所好文が率いた200人の中隊は、長野県北部を中心に集められた。終戦の一年前、1944年6月に渡満。日々、少年たちは開拓と訓練に勤しむ。しかし、45年8月9日、ソ連軍が満州に侵攻。日本軍にも見棄てられ、深い山中に入り決死の逃避行が始まった。食料もなく、多くの仲間が命を落としていく。そして、祖国をめざす少年たちを待ち受けていたのは、さらに苛酷な収容所生活。生きて帰国できたのは、半数に満たない82名だった。
歴史教科書にもほとんど記されず、忘れ去られる戦争の歴史を、当事者や現地の中国人の証言、記録映像や資料などから紐解く。戦禍を生き抜いた少年たちが語る戦場の記録から、「戦争とは何か」「平和とは何か」を問いかける。

[STORY]
旅人、内田也哉子は、長野県中野市にある作詞家・高野辰之記念館を訪ねる。記念館の周りは満開の菜の花。悠々と千曲川が流れ、夕陽に照る山々。辰之の歌「ふるさと」の情景だ。しかし、この平和なふるさとから、満州へ送られた10代半ばの少年たちがいた。対話のお相手にタレントのYOUを迎え、ドキュメンタリーのこと、子どもや親の目線で見た戦争、ふるさとと「戦争と平和」について語り合う。

「戦争と対話」#3

『再会~平壌への遠い道~』対話/ジャーナリスト 青木理
[1986年/日本/73分]
ディレクター:岩井まつよ プロデューサー:内山洋道

★放送文化基金賞 奨励賞
★日本民間放送連盟賞テレビ教養 優秀賞

[INTRODUCTION]
朝鮮人の父親と日本人の母親をもつ長野市松代町の富士原昌子さん。北朝鮮への帰国事業で両親と別れてから、再会を待ち望んでいた。父は戦争中、朝鮮から強制連行されて松代大本営の建設工事に従事していた。帰国事業で、家族で北朝鮮に行く予定が、昌子さんは不安でいっぱいになり、新潟へ向かう列車から飛び降りて、ひとり日本に残ることになった。母との手紙のやりとりは続いたが、ある日、消息が途絶える。外務省をはじめ、渡航の手だてを探す昌子さんに、北朝鮮に行く国際交流船があることが伝えられる。日本の植民地政策に翻弄された家族の軌跡を辿り、終わらない戦後を生きる人々の苦悩を見つめた。

[STORY]
旅人、内田也哉子が訪れたのは、長野市松代町。江戸時代の面影を残す穏やかな街並み。1944(昭和19)年11月、この町で巨大な地下壕の建設が始まった。本土決戦に備え大本営と皇居、政府機関などを移そうとしたのが松代大本営だ。その痕跡を今に伝える象山地下壕に足を踏み入れる。記憶の風化に抗うかのように続く薄暗い壕を進む。ここから始まる、ある家族の物語を紐解く。対話のお相手は、朝鮮問題に詳しいジャーナリストの青木理。ドキュメンタリーを手掛かりに、日本の戦争と東アジア、内外を問わず国に翻弄される人々について語り合う。

「戦争と対話」#4

#4『遼太郎のひまわり』対話/ミュージシャン 坂本美雨
[2012年/日本/91分]
ディレクター:手塚孝典 プロデューサー:久保正彰

★日本民間放送連盟賞テレビ教養 優秀賞

[INTRODUCTION]
長野県飯田市の小学校教諭、大橋春美さんは、中国残留日本人の父と中国人の母をもつ中国帰国者2世である。長野県豊丘村で息子の遼太郎くんと暮らしている。「戦争がなければこの世に生を受けることはなかった」。自らの存在を問う、その苦悩は消えない。中国では、日本人の血を引くことで侵略の責めを負わされ、日本では中国人の血を蔑まれ生きてきた。2005年、中国の大学院で学ぶ機会を得て、親子で3年間滞在した。現地の小学校では遼太郎くんはただ一人の日本人で、中国の歴史教育のなかで傷つく場面もあったが、親友を得て交流を深めてきた。自宅の庭で育てているひまわりは、中国の先生や友だちとの友情の証である。春美さんは、子どもたちが育む絆こそが、友好の時代への礎だと信じている。

[STORY]
旅人、内田也哉子は、長野県阿智村にある満蒙開拓平和記念館を訪ねる。館内には、日本の植民地支配と現地に残された棄民の歴史が綴られ、証言記録映像が流れる。5歳の時、敗戦を迎え、満州から引き揚げてきた女性に出会う。ソ連軍の侵攻から始まる過酷な逃避行と難民収容所での凄惨な日々。心の奥底に澱む記憶に触れる。一方で、中国に残留し祖国に帰れなかった人々がいる。その歴史を背負って生きる母子がいた。対話のお相手にミュージシャンの坂本美雨を迎え、ドキュメンタリーのこと、今も世界で繰り返される暴力、対立と分断、その理不尽な世界に生きる人々について語り合う。

「戦争と対話」#5

#5『78年目の和解』対話/杉並区長 岸本聡子
[2024年/日本/88分]
ディレクター:湯本和寛 プロデューサー:手塚孝典

★日本民間放送連盟賞グランプリ 
★ギャラクシー賞選奨
★JCJ賞
★「地方の時代」映像祭 選奨

[INTRODUCTION]
1945年、現在のマレーシア・ボルネオ島で「サンダカン死の行進」と呼ばれる悲劇が起きた。日本軍の無謀な移動命令によって、英豪軍の捕虜2400人余が死亡。生き残ったのは、途中で脱走した6人だけだった。また、日本兵も半数近くが命を落とし、民間人や地元住民も混乱の中で犠牲になった。オーストラリア人の元捕虜の息子、ディック・ブレイスウェイトさんは、なぜこのような悲劇が起きたのか、詳細な調査を重ねてきた。2016年、ディックさんは亡くなる直前に1冊の本にして出版した。その「あとがき」で願っていたのは「和解」だった。悲劇から78年、ディックさんの親族や戦犯として処刑された日本軍司令官の遺族、スパイ容疑で処刑された地元住民の孫など、関係者20人余が戦跡をめぐり、それぞれが背負った歴史について耳を傾けた。加害と被害を越えて真実と向き合った遺族の葛藤と軌跡を追った。

[STORY]
旅人、内田也哉子は、靖国神社を訪ねる。戦後70年、樹木希林の取材以来、10年ぶりに撮影が許された。広い境内は平穏そのもの。国民を戦争へ駆り立てた歴史、国のために殉じた者を悼む神社、国と戦争と私たち。「批判と賛美」、「加害と被害」、その真ん中を思想として語れないだろうか…。対話のお相手に杉並区長の岸本聡子を迎え、国からみた戦争と民衆がみた戦争、国を越えた理解・和解、「国」と「私」について語り合う。

「戦争と対話」#6

#6『いのちと向き合う』対話/佐喜眞美術館・館長 佐喜眞道夫
[2003年/日本/97分]
ディレクター:野沢喜代 プロデューサー:善財優・岩井まつよ ナレーション:樹木希林

★日本民間放送連盟賞テレビ・エンターテインメント 最優秀賞

[INTRODUCTION]
長野県松本市の神宮寺。「何宗ですか?」ときかれて「皆の宗・臨機応変派ですよ」と半ばジョークで答える高橋卓志住職。お寺は活気に満ちている。常に人が集い、禅宗の伝統を受け継ぎながら、高齢者のためのデイサービスや、お葬式の見本市など、様々な取り組みを行っている。死者と向き合う巡礼の中で、セレモニー中心の仏教に疑問を持ったのがきっかけだ。高橋住職は、アジア太平洋地域を訪ね、戦争で命を落とした人々の遺骨収集や供養をしてきた。戦争や差別に対して宗教者としてどうあるべきか、問い続けている。
「寺は生きている人のためにある」という信念と、いのちへの真摯な思いを明るくユーモアに包んで描く。

[STORY]
旅人、内田也哉子は、沖縄を訪ねる。無言館に展示されている絵画。その作者で、沖縄戦で命を落とした画学生を「平和の礎」で探す。チビチリガマ、辺野古…。戦争が、過去から現在、未来へ続く、沖縄の現実。ドキュメンタリーから20年余り。長野県松本市に高橋住職を訪ねる。ガンで闘病生活を送りながら、沖縄にも足を運び、沖縄戦で亡くなった人々への慰霊を続けている。そして、対話のお相手は佐喜眞美術館・館長の佐喜眞道夫。丸木位里・丸木俊が最晩年に取り組んだ「沖縄戦の図」を所蔵する美術館で、沖縄戦と本土空襲、いのち、アートの力について語り合う。

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