ヨアキム・トリアー オスロ三部作【5/1~14】*『センチメンタル・バリュー』公開記念特集上映

今後の上映作品
[上映日程]2026年5月1日(金) 〜 14日(木) *休映:5/7、11~12

“ 記憶に棲みつく、愛と孤独のオスロ三部作 ”

ヨアキム・トリアーは1974年生まれ。「オスロ三部作」の1作目にあたり、長編デビュー作の『リプライズ』(06)でノルウェーのアカデミー賞と言われるアマンダ賞の最優秀作品賞、監督賞、脚本賞を受賞し注目を集めます。続く『オスロ、8月31日』(11)が第64回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されると、悲しみや孤独にフォーカスしながらも多くの人の共感を集める傑作として高く評価され、世界から新作が待望される監督となりました。その後初の英語作品でイザベル・ユペールを主演に迎えた『母の残像』(15)、異色のホラーとして賞賛された『テルマ』(17)と着々とキャリアを重ね、2021年、「オスロ三部作」の最終作として第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映された『わたしは最悪。』(21)で、主演のレナーテ・レインスヴェが見事女優賞を受賞。アカデミー賞も2部門でノミネートを果たし、多くの人が2021年のベスト映画に選ぶなど、日本でもヒットを記録しました。そして2025年、最新作『センチメンタル・バリュー』がカンヌの舞台で堂々のグランプリ受賞、本年度アカデミー賞最有力作品ともいわれ、現代映画を代表する名匠のひとりとなりました。

今回上映となる“オスロ三部作”は、単に同じ都市を舞台とする三作品ではありません。ヨアキム・トリアーがデビュー以来一貫して探究してきたテーマが、三人の主人公を通して結晶した、彼の作家性を最も明瞭に示すシリーズとなっています。そこに浮かび上がるのは、まず「記憶とアイデンティティの揺らぎ」。人物たちは過去・現在・未来のはざまで揺れ動き、“あり得たかもしれないもう一人の自分” の影が常に立ち上がります。また、人生の岐路で誰もが抱く「もし別の選択をしていたなら」という思考と、映画という媒体が持つ“反復/再演”の力が交差する、独特の語りの構造も三部作を貫いています。さらに、トリアー作品が繊細に描いてきたのが、「普通の人びと」の見えにくい苦悩と実存的危機です。成功と挫折、自己喪失、人間関係、社会の期待とプレッシャー。目には見えない現代の痛みが静かに滲み出ています。そして何より特徴的なのは、一人の人生に複数の時間が同時に重なり合う瞬間の表現です。心理や記憶、選択の分岐が、一つのショットや編集の中で立体的に浮かび上がり、観客は「時間そのものが揺らぐ感覚」を体験することになります。こうした独自の語りと実存的テーマの積層によって、“オスロ三部作”は国際的にも高く評価され、現代映画における重要作として位置づけられてきました。

[上映作品]
・『リプライズ』(2006)
・『オスロ、8月31日』(2011)
・『わたしは最悪。』(2021)

提供:JAIHO
配給:グッチーズ・フリースクール、ギャガ

[上映時間]
*準備中

『リプライズ』
[2006年/ノルウェー/106分]R15+
監督:ヨアキム・トリアー 製作:カーリン・ユルスル 脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー 撮影:ヤコブ・イーレ 音楽:オーラ・フロッタム 出演:アンデルシュ・ダニエルセン・リー、エスペン・クロウマン=ホイネル、ヴィクトリア・ヴィンゲ、オッド=マグヌス・ウィリアムソン
© Spillefilmkompaniet 4 1/2

若さの疾走と挫折の瞬間がリプライズする衝撃デビュー作
作家を志す二人の青年エリックとフィリップ。成功と失敗、友情とすれ違い、希望と絶望。人生の“リプライズ=反復/再演”を複層的な語りで描き出した、ヨアキム・トリアーの長編デビュー作にして、後の作風がすでに結晶した青春映画。のちにトリアーが「オスロ三部作」全作品や最新作『センチメンタル・バリュー』までタッグを組み続け、オリヴィエ・アサイヤスやミカエル・アース、ミア・ハンセン=ラブといった監督の作品に出演する名優アンデルシュ・ダニエルセン・リー初の本格的な映画出演作。
*日本初劇場ロードショー

『オスロ、8月31日』
[2011年/ノルウェー・スウェーデン・デンマーク/94分]PG12
監督:ヨアキム・トリアー 製作:ハンス=ヨルゲン・オスネス、ジグべ・エンドレセン 脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー 撮影:ヤコブ・イーレ 音楽:オーラ・フロッタム 出演:アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハンス・オラフ・ブレンネル、マリン・クレピン、イングリッド・オラワ、ヨハンナ・ヒェルヴィック・レダン、レナーテ・レインスヴェ
© Motlys AS / Norway

人生の縁に立つ孤独な男の魂の彷徨
薬物依存症からの回復施設にいるアンデシュは、面接のために一日だけ街へ戻る許可を得る。過去の友人や恋人と再会しながら、自らの人生の空白と向き合う彼は、“取り返しのつかない決定的な一日”を静かに過ごすことになる。ドリュ・ラ・ロシェル『ゆらめく炎』の精神を現代に移した傑作。その後トリアーの『わたしは最悪。』『センチメンタル・バリュー』の主演で圧倒的な輝きを見せることとなるレナーテ・レインスヴェが映画デビューを果たす。
*日本初劇場ロードショー

『わたしは最悪。』
[2021年/ノルウェー・フランス・スウェーデン・デンマーク/128分]R15+
監督:ヨアキム・トリアー 製作:トマス・ロブサム、アンドレア・ベレントセン・オットマール 脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー 撮影:キャスパー・トゥクセン 音楽:オーラ・フロッタム 出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー
© 2021 OSLO PICTURES – MK PRODUCTIONS – FILM I VÄST – SNOWGLOBE – B-Reel – ARTE FRANCE CINEMA

人生は選択 ── 時々、運命。
30歳を目前に、恋愛・キャリア・自己像に揺れるユリヤ。人生の岐路での選択と後悔、関係の終わりと始まり──オスロの街を舞台に、“いまを生きること”の痛みと愛しさを鮮烈に描き、世界中で絶賛された現代映画のマスターピースにして「オスロ三部作」最終章。主演のレナーテ・レインスヴェが第74回カンヌ国際映画祭で女優賞受賞の快挙を果たし、アカデミー賞で脚本賞と国際長編映画賞にノミネートされ、2021年のベスト映画として多くの人が名を挙げた1本。


ヨアキム・トリアー

デンマーク生まれ、ノルウェー出身。
長編デビュー作『リプライズ』(06)で2007年アマンダ賞(ノルウェー・アカデミー賞)の最優秀ノルウェー作品、監督賞、脚本賞を受賞。2006年のアカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品に選出。続く『オスロ、8月31日』(11)は2011年カンヌ国際映画祭のある視点部門にて正式出品し、2013年セザール賞の最優秀外国語映画賞にノミネート。初の英語作品となる『母の残像』(15)ではカンヌ国際映画祭コンペティション部門に初選出された。その後『テルマ』(17)でも世界的な映画賞を複数受賞するほか、北欧理事会映画賞にノミネートするなど注目を浴びた。
そして『リプライズ』『オスロ、8月31日』と並び「オスロ三部作」として名を連ねる『わたしは最悪。』(21)ではレナーテ・レインスヴェが第74回カンヌ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞、英国アカデミー賞(BAFTA)にノミネートの後、第94回アカデミー賞では脚本賞、国際長編映画賞にノミネートを果たした。
今作『センチメンタル・バリュー』を含む6本の長編映画を脚本家エスキル・フォクトとのコラボレーションで作り上げ、いずれも国際的に高い評価を受けている。

▼ヨアキム・トリアー監督 最新作『センチメンタル・バリュー』についてはこちらから

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