4月の映画鑑賞ガイド

お知らせ

おかげさまで、定期上映再開から9周年。
4/11(土)・12(日)は上田映劇「定期上映再開9周年祭」へ!

2026年4月15日、上田映劇は定期上映を再開して9周年の節目を迎えます。
今日までこの場所が呼吸を続け、数えきれないほどの映画とお客様が出会う場所であり続けられたのは、劇場に足を運び、スクリーンを見つめてくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

日頃の感謝を込めまして、4月11日(土)と12日(日)の週末は「定期上映再開9周年祭」と題し、特別なゲストをお招きした舞台挨拶やトークイベント、対話会を集中開催いたします!
映画を観るだけでなく、語り合い、思いを共有する。上田映劇らしい「映画体験」がぎゅっと詰まった特別な2日間。ぜひ、お祭りに遊びに来るような気持ちで、劇場へお出かけください。

【9周年祭 特別イベントスケジュール】

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■ 4月11日(土)
・10:15〜『ロッコク・キッチン』【上映後 舞台挨拶】登壇:川内有緒さん、三好大輔さん

・13:30〜『ボストン市庁舎』 ※会場:別館トラゥム・ライゼ【上映後 対話会】「終わる選挙と始まる市政。『ボストン市庁舎』から考える「わたしたちの市役所」」進行:やぎかなこ(上田映劇 代表)

■ 4月12日(日)
・11:30〜『金子文子 何が私をこうさせたか』【上映後 舞台挨拶】登壇:浜野佐知 監督

・14:30〜『菊とギロチン』【上映後 アフタートーク】登壇:栗原康さん(政治学者・アナキズム研究)

▼ INDEX:4月の上映作品テーマ ▼

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【今月のメインテーマ】
1. 1923年から連なる歴史の闇。隠蔽された暴力と、個人の「決断」
2. 一杯の珈琲から三つ星の厨房まで。食と人が織りなす物語
3. 【追悼上映】巨匠フレデリック・ワイズマンの眼差し

【今月のトピックス】
4. 【上田市ロケ作品】見慣れた街が、映画の舞台に。
5.
6. 【ピックアップ】『おばけ』から『道行き』へ

【テーマ別 上映作品】
7. 響きあう音楽と芸術家の魂
8. アニメーションの新しい波
9. 伝えたい言葉、きこえる愛(ろう者・手話をめぐるドラマ)
10. 喪失と空白。人が消えたあとの世界

【4月の大注目作 & 5月先行案内】
11. アカデミー賞受賞!『センチメンタル・バリュー』公開と、伝説の「オスロ三部作」へ

【今月のメインテーマ】

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1. 1923年から連なる歴史の闇。隠蔽された暴力と、個人の「決断」

1923年(大正12年)。関東大震災という未曾有の災害の裏で流言飛語による虐殺が起き、国家権力による思想弾圧が吹き荒れたこの時代は、社会が同調圧力とともに暗い道へと突き進む大きな転換点でもありました。
本特集では、その1923年に起きた日本の歴史の闇と、国家という巨大な力に抗った若者たちの生き様を出発点に、韓国の「済州島四・三事件」やアイルランドの「マグダレン洗濯所」など、国内外で長く隠蔽されてきた暴力の歴史を紐解きます。巨大な力や社会の空気の中で、見て見ぬふりをするのか、自らの良心に従うのか。彼らの鮮烈な姿は、現代を生きる私たちに「あなたはどう決断するのか」と重く問いかけます。12日(日)のゲストトークと併せて、重厚なテーマをぜひ劇場で共有しましょう。

『1923』[4/3~]
1923年の関東大震災直後に起きた、在日朝鮮人への集団的暴力・虐殺。なぜこの事件は100年以上もの間「歴史の闇」として隠蔽されてきたのか。膨大な取材と新資料の検証を通じ、差別意識や権力構造の背景に迫る、渾身の鎮魂ドキュメンタリー。
『金子文子 何が私をこうさせたか』[4/10~]
大正期、大逆罪に問われ獄中で自死した金子文子。戸籍すら持たず過酷な生い立ちを背負いながらも、国家という巨大な力に屈することなく自己の信念を貫き通した彼女の闘いと、121日間の鮮烈な生き様を描き出す。
【4/12(日) 舞台挨拶開催】
『菊とギロチン』[4/12]
関東大震災直後の大正時代末期。かつて実在した「女相撲」の力士たちと、格差のない社会を求めてテロルを企てるアナキスト・グループ「ギロチン社」の若者たち。行き場のない怒りと情熱を抱えながら、自由を求めて疾走する青春群像劇。
【4/12(日) アフタートーク開催】
『決断するとき』[4/3~]
1985年のアイルランド。社会が長く黙認してきた修道院での“マグダレン洗濯所”の人権問題を背景に、見て見ぬふりをするか、良心に従うか。キリアン・マーフィーが内面の葛藤を徹底的に演じ切る人間ドラマ。
『済州島四・三事件 ハラン』[4/17~]
長らく歴史の闇に隠蔽されてきた「済州島四・三事件」を背景に、国家権力の暴力から逃れるため漢拏山(ハルラサン)を目指す母と娘の命がけの逃避行を描く。弱き者たちが歴史に翻弄される姿を浮き彫りにした渾身の作。

2. 一杯の珈琲から三つ星の厨房まで。食と人が織りなす物語

テーブルを囲めば、人生の味がする。
コーヒーの豊かな香りから、福島の国道沿いの温かなキッチン、厳しい自然と対峙する北の料理人、そしてミシュラン三つ星レストランの厨房まで。食と人が織りなす様々な物語をお届けします。巨匠ワイズマン監督の追悼企画となる『至福のレストラン』もこちらで。映画の後は、ぜひ美味しいお食事を!

『ロッコク・キッチン』[4/10~]
福島の国道6号線(ロッコク)沿い。震災の傷跡が残るこの地で、ささやかな日常を送り、食卓を囲む人々の姿を見つめる。何気ない「食べる」という行為の中に、生きる強さと希望を見出す温かなドキュメンタリー。
【4/11(土) 舞台挨拶開催】
『かもめ食堂』[4/10~]
フィンランドの首都ヘルシンキ。日本人女性のサチエがオープンした小さな食堂に、ワケありの日本人旅行者や地元の風変わりな人々が集まり始める。美味しい食事とゆったりとした時間が、人々の心を静かにほぐしていく心温まる物語。
『結局珈琲』[4/10~]
下北沢で長く愛された実在の喫茶店「こはぜ珈琲」。閉店から移転、そして再出発に至るまでの店主と常連客たちの姿を追う。コーヒーの香りと共に、街の記憶と人々の温かな繋がりを記録したドキュメンタリー。
『北の食景』[4/17~]
北海道の厳しい自然の中で、独自の哲学を持って食材と向き合う四人の料理人たち。北国の美しい四季の移ろいとともに、風土に根ざした「食」のあり方と、彼らが紡ぎ出す極上の一皿が生み出されるまでを丁寧に映し出す。
『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』[4/17~]
フランス中部の村で親子3代にわたりミシュランの三つ星を守り続けるレストラン「トロワグロ」。厨房の緊張感あふれる舞台裏から、食材の調達、家族の絆まで。最高峰の芸術的食体験の秘密に迫る。
【フレデリック・ワイズマン監督 追悼企画】
『自然は君に何を語るのか』[4/17~]
恋人の家族と一日を過ごすことになった青年。共にテーブルを囲み、お酒が進むにつれて、穏やかだった空気が次第に気まずさを帯びていく。日常のささいな会話の中に潜む人間の滑稽さや複雑さをあぶり出す酩酊ホームドラマ。

3. 【追悼上映】巨匠フレデリック・ワイズマンの眼差し

カメラが捉えた、巨大な「社会」の鼓動。
ドキュメンタリー界の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督。数百種類ものサービスを提供するボストン市役所の舞台裏に密着した本作は、私たちが暮らす社会と行政のあり方を鮮烈に問い直します。対話会イベントで、市政と私たちの繋がりについて一緒に考えてみませんか。

『ボストン市庁舎』[4/11~]
警察、消防からホームレス支援、同性婚の承認まで、数百種類ものサービスを提供するボストン市役所。多様な市民の声に向き合う職員たちの奮闘を通し、民主主義と公共サービスの真髄を映し出す傑作ドキュメンタリー。
【4/11(土) 対話会開催】
【今月のトピックス】

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4. 【上田市ロケ作品】見慣れた街が、映画の舞台に。

当館のある上田市でロケが敢行された話題作を特別上映します。生きることに絶望した大人たちの挽歌を描くジャパニーズ・ノワール『月の犬』。スクリーンに大写しになる「私たちの街」の新たな顔、そしてその熱量を、ぜひ劇場で目撃してください。

『月の犬』[4/24~]
心に深い傷を抱え、生きることに絶望した大人たちが交錯し、やがて破滅的な運命へと巻き込まれていく姿を描くジャパニーズ・ノワール。見慣れた上田の風景が、スクリーンで美しくも不穏な新たな顔を見せる。

5. 【特集上映】

6. 【ピックアップ】『おばけ』から『道行き』へ

時間の地層をめぐる、夢幻の旅へ。
3月に前作『おばけ』で当館での舞台挨拶にご登壇いただいた中尾広道監督。その最新作をいち早くお届けします。古い屋敷を改修していく中で、過去と現在が交錯し、かつて存在したものが立ち現れる夢幻の旅。前作からのゆるやかな連続性を感じながらお楽しみください。

『道行き』[4/3~]
奈良県御所市を舞台に、古い屋敷を改修していく中で巻き起こる不思議な出来事。過去と現在が交錯し、かつて存在したものが立ち現れては消えていく。独自の映像詩で描き出す、時間と記憶の地層をめぐる物語。
【テーマ別 上映作品】

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7. 響きあう音楽と芸術家の魂

劇場が極上のライブハウスに変わる時。
坂本龍一の幻のドキュメンタリーや極上のトリオ・ライブ映像をはじめ、ボサノヴァ名盤の誕生秘話、天才ピアニストの復活劇、伝説の振付家の知られざる半生など。圧倒的な才能を持つ芸術家たちの情熱と葛藤、そして彼らが人生を懸けて生み出した音楽や表現を、劇場の音響で全身に浴びるような贅沢なラインナップです。スクリーンを通して、彼らの魂の響きに耳を傾けてみてください。

『エリス&トム ―ボサノヴァ名盤誕生秘話―』[4/3~]
ブラジル音楽史に燦然と輝く名盤「Elis&Tom」。1974年のレコーディング現場で起きていた、歌姫エリス・レジーナと創始者トム・ジョビンの激しい衝突と傑作誕生の裏側に迫る。
『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版[4/3~]
1984年、当時32歳の坂本龍一が東京でアルバム制作をする日々を記録した幻のドキュメンタリー。若き「教授」の素顔と《東京の音》が約40年の時を経てスクリーンに甦る。
『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』[4/24~]
ピアノ、チェロ、ヴァイオリンというシンプルな編成で極上の音楽を奏でる、坂本龍一の“トリオ編成”。緊張感と親密さが静かに共存する東京・赤坂ACTシアターでの公演を完全収録。
『ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生』[4/24~]
若くしてショパン国際ピアノコンクールに優勝するも、病や怪我で表舞台から姿を消した天才ピアニスト。長きにわたる沈黙と過酷なリハビリを経て、サントリーホールでの復帰公演に至る再生の旅路。
『ジョン・クランコ バレエの革命児』[4/10~]
地方の小さなカンパニーを世界の頂点へと引き上げ、“奇跡”と呼ばれた天才振付家ジョン・クランコ。美と情熱の完璧な表現を追い求め、45歳で非業の死を遂げた彼の知られざる半生を描く。

8. アニメーションの新しい波

イマジネーションが加速する、アニメの現在地。
世界中から集まった、実写では決して描けない圧倒的な視覚表現と自由な世界観を持つ3作をピックアップしました。12人のアーティストが紡ぐドミニカ共和国発のラブストーリーから、100m走にすべてを懸ける少年たちの狂気と青春、そしてフランスから届いた鮮やかなSFファンタジーまで。技法も国境も超えた、アニメーションの最前線と無限の可能性を目撃してください。

『オリビアと雲』[4/3~]
12人のアニメーション・アーティストが、多彩なスタイルを駆使してひとつのラブストーリーを紡ぎ出す。愛の悦び、怖さ、切なさを、映像と音響の圧倒的な没入感で描く魅惑のおとぎ話。
『ひゃくえむ。』[4/17~]
生まれつき足が速い“才能型”のトガシと、がむしゃらに走る転校生で“努力型”の小宮。100m走を通して親友となった二人が、数年後トップランナーとして運命の再会を果たす圧倒的熱量の物語。
『ARCO アルコ』[4/24~]
2075年の荒廃した地球に、遥か未来から虹色のスーツを着た少年アルコが降ってきた。彼は10歳の少女イリスと出会い、未来へ帰るための「虹の道」を探す冒険の旅に出るSFファンタジー。

9. 伝えたい言葉、きこえる愛(ろう者・手話をめぐるドラマ)

言葉を超えて、まっすぐに届く思い。
手話という豊かで身体的な言語表現を通して、他者とわかりあうことの難しさや喜び、そして家族の愛をまっすぐに描き出す珠玉の感動作をお届けします。異なる環境で育ったろう者の若者たちのリアルな葛藤を描く香港の大ヒット群像劇と、非情な運命に翻弄される父娘の深い絆を描く中国映画。彼らの生きる世界に触れることで、コミュニケーションの本当の意味が見えてくるはずです。

『愛がきこえる』[4/3~]
耳の聞こえない父と、彼を支える7歳の娘。互いを思いあう静かな愛の日々を送っていたが、離婚した母が親権を主張し事態は急変する。ただ一緒にいたいと願う父娘が、非情な運命と逆境に立ち向かう姿を描いた珠玉の感動作。
『私たちの話し方』[4/3~]
人工内耳を装用するソフィーとアラン、手話話者であることを誇るジーソン。異なる環境で育った20代の3人のろう者が、ありのままの自分で生きようと模索する青春群像劇。互いの生き方に思いがけない変化をもたらしていく香港の大ヒット作。

10. 喪失と空白。人が消えたあとの世界

そこに残されたものを、静かに見つめる。
誰かがふと、いなくなる。心にぽっかりと空いた穴や、残された者の揺れ動く感情を様々な角度から描き出す3作品を集めました。突然の死や喪失をめぐる傑作フィクションから、現代日本で自ら姿を消す「蒸発者」たちを追った衝撃のドキュメンタリーまで。人が消えたあとの世界で、残された者はどう生きていくのか。深い余韻とともに、人間の心の奥底を覗き込むようなプログラムです。

『フェザーズ その家に巣食うもの』[4/10~]
妻に先立たれた父と幼い息子の前に、謎の電話を機に不気味な“カラス”が姿を現す。それは現実か、悲しみが作り出した幻か。いびつな美しさを纏い、絶望からの再生を描くファンタジースリラー。
『トニー滝谷』4Kリマスター版[4/17~]
村上春樹の短編小説を市川準監督が映像化した伝説的傑作。不慮の事故で妻を失ったトニー滝谷は、深い喪失感の中、亡き妻によく似た女性に彼女の服を着てもらうことで悲しみを埋めようとするが…。
『蒸発』[4/17~]
借金や人間関係からあらゆるしがらみを断ち切って見知らぬ土地へ逃れる「蒸発者」たちと、彼らを支援する夜逃げ屋、そして残された家族の葛藤に迫る。逃走と再生をめぐる圧巻のドキュメンタリー。
【4月の大注目作 & 5月先行案内】

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11. アカデミー賞受賞!最新作『センチメンタル・バリュー』公開と、伝説の「オスロ三部作」へ

カンヌ国際映画祭グランプリ、そして先の第98回アカデミー賞で堂々の「国際長編映画賞」を受賞した大注目作『センチメンタル・バリュー』がいよいよ今月公開!あまりに不器用な父娘を描いたこの傑作家族ドラマの公開を記念し、なんと5月からはヨアキム・トリアー監督の名を世界に轟かせた伝説の「オスロ三部作」の一挙上映も決定しました。まずは今月、世界を席巻する最新作をスクリーンで体感し、来月からの特別な特集へと思いを繋いでください。現代を生きる私たちの痛みに静かに寄り添う、必見のプログラムです。

『センチメンタル・バリュー』(最新作)[4/24~]
カンヌ国際映画祭グランプリ&第98回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞!あまりに不器用な映画監督の父と、怒りと失望を抱える娘。かつて家族で暮らした実家を舞台に、複雑な人間模様と抑えきれない感情が交錯する、共感必至の家族ドラマ。
『リプライズ』(日本初公開)[5/1~]
作家を志す二人の青年の、若さの疾走と挫折がリプライズ(反復)する衝撃のデビュー作。
『オスロ、8月31日』(日本初公開)[5/1~]
薬物依存からの回復施設にいる男が、一日だけ街へ戻り自らの人生の空白と向き合う魂の彷徨を描く。
『わたしは最悪。』[5/8~]
30歳を目前に恋愛やキャリアに揺れる女性の姿を通し、現代を生きることの痛みを鮮烈に描いた三部作最終章。

おわりに。

春の陽気が心地よい4月。新しい出会いや発見を探しに、ぜひ上田映劇へお出かけください。
9周年の感謝を胸に、今月もスタッフ一同、皆様のご来館を心よりお待ちしております!

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