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息子のまなざし *PICK UP MOVIE/第3回オープンダイアローグ選定作品/第10回「うえだ子どもシネマクラブ」上映作品

過去の上映作品
[上映日程]4/17~30(休映:4/19、26)
*4月25日(日)14時15分の回の上映後にオープンダイアローグを実施します。お気軽にご参加ください!

“ 人を受け入れることから、愛が生まれる。”

 生涯忘れ得ぬ感動が 深く心に刻まれる。

[解説]
観客はオリヴィエの後ろ姿を追ううちに、彼の日常を知り、周囲の人々を知り、そしてフランシスとの関係を知る。その衝撃。観客は父オリヴィエの慟哭に共感する。やがてオリヴィエの視線を通してフランシスを見つめ、フランシスの視線にさらされるオリヴィエという男性に向き合う。本作は「人は聖者にならずに最も憎い人間さえも受け入れることができるのか」というテーマを描いている。最も憎い相手さえも受容する──果たしてそれは可能なのだろうか。その厳しい命題に対して、ダルデンヌ兄弟は現実の痛みと苦しみと悲しみを回避しようとはしない。しかし、最後に彼らが用意したラストシーンは、その向こう側にある、人間の尊厳を慎み深くそっと差し出す。『息子のまなざし』はすべての装飾を剥ぎ取り、人間の本質を描き出す珠玉の作品なのである。

前作『ロゼッタ』でカンヌ国際映画祭パルムドール大賞を受賞したダルデンヌ兄弟監督の最新作『息子のまなざし』。2002年のカンヌ国際映画祭において主演男優賞とエキュメニック特別賞を受賞、彼らの最高作と呼んでもさしつかえない出色の作品である。キャメラは主人公の首筋を追う。そうすることで観るものは主人公とほぼ同じ目線で映画を体験していく。主人公の理屈では説明のつかない行動、理解不可能な感情さえも、同時体験として観るからこそ、違和感なく「ひとりの人間の複雑な気持ち」を理解することができるのだ。あたかもドキュメンタリー・フィルムのように見える本作だが、各シーンのテイク数が平均20テイクというほど、ダルデンヌ兄弟の完璧なる演出プランの元に撮影がされている。スタッフは前作『ロゼッタ』と同じチームが結集、そのチームワークにより、緻密で緊迫感あふれる映像世界を見事に作り上げた。

主演のオリヴィエ・グルメは『イゴールの約束』『ロゼッタ』に続いて、ダルデンヌ兄弟作品に出演、3本目にして初主演。本作には感情を吐露させる台詞はほとんどない。表情の演技、それ以上に肉体により感情を表現する、という偉業をグルメは成しえてしまった。 2002年のカンヌ国際映画祭。アカデミー賞を受賞したエイドリアン・ブロディ(『戦場のピアニスト』)等が名を連ねる中、見事、グルメは主演男優賞を獲得した。カンヌ史上最少の台詞による主演男優賞受賞者であろう。ヨーロッパ中の監督達からラブコールが相次いでおり、この年のカンヌ国際映画祭でもグルメの出演作品は3本も出品された。

[あらすじ]
何故? 何故? 謎が明らかになる、その瞬間の衝撃。
そして、映画史に残る、最も慎み深く感動的なラストシーン。
傑作と呼ぶことさえもためらわれる珠玉の作品が生まれた。

オリヴィエは職業訓練所で大工仕事を教えている。ある日、その訓練所にフランシスという少年が入所してくる。フランシスは大工のクラスを希望したが、オリヴィエは手一杯だからと断り、フランシスは溶接のクラスに回される。しかし、オリヴィエは人に気づかれぬよう、フランシスを追う。フランシスとは誰なのだろう?何故、オリヴィエは訓練所の廊下、街角、ビルの中までフランシスを尾けるのか?何故、オリヴィエはそんなにもフランシスに興味を持つのか?何故、オリヴィエはそんなにもフランシスに怯えるのか?成長していく上での指針を持たずに育ってきた少年フランシス。少年は目指すべき大人を知らず、自分を受け入れてくれる人を無意識のうちに求めていた。ある事件から心を閉ざしてしまったオリヴィエ。彼は他人を受け入れることができなくなっていた……。

『息子のまなざし』
[2002年/ベルギー=フランス/1:1.66/103分]
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:オリヴィエ・グルメ、モルガン・マリンヌ、ほか
日本語字幕:寺尾次郎
提供:アーティストフィルム+エレファント・ピクチャー+ビターズ・エンド
配給:ビターズ・エンド

文部科学省選定
カトリック中央協議会広報部 推薦
日本PTA全国協議会 推薦

・カンヌ国際映画祭 主演男優賞・エキュメニック賞特別賞
・ファジル国際映画祭 グランプリ・主演男優賞
・ベルギー・アカデミー 最優秀作品賞・監督賞・主演男優賞

◎[鑑賞料金]
特別鑑賞料金(一般)¥1,500/映劇会員一律¥1,000(年パス不可) 
*回数券、福利厚生券、招待券、MTAチケット及び一切の割引サービスが利用できません。

◎PDF版は下記よりダウンロードできます。(1.5MB)

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『息子のまなざし』を傑作と呼ぶことは、
この映画のつつしみ深さを侮辱することになるかもしれない。
だが、いつまでも心に残る、つつましくも、
まったく無駄のない奇跡的な作品であることは明らかだ。
──ニューヨーク・タイムズ

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