ミゲル・ゴメス アーリーワークス【10/10~23】*最新作『グランドツアー』公開記念特集上映

今後の上映作品
[上映日程]2025年10月10日(金) 〜 23日(木) *休映:未定

“ ポルトガルから届いた、夏と記憶のシネマたち ”

初期傑作2本から探る、幻想の映画作家ミゲル・ゴメスの原点!

最新作『グランドツアー』が見事、第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門監督賞を受賞し、いま最も注目を集めるポルトガルの俊英ミゲル・ゴメス監督。その『グランドツアー』の公開を記念して、ミゲル・ゴメス監督の初期の傑作である、監督デビュー作『自分に見合った顔』と、その才能を世界に知らしめた『私たちの好きな八月』を特別上映する「ミゲル・ゴメス アーリーワークス」の開催が決定

提供:JAIHO
配給:グッチーズ・フリースクール

[上映作品]
『自分に見合った顔』(2004)
『私たちの好きな八月』(2008)

[上映時間]
*準備中

作品紹介

『自分に見合った顔』A CARA QUE MERECES
[2004年/ポルトガル/108分]G
監督:ミゲル・ゴメス 脚本:ミゲル・ゴメス、マヌエル・モゾス、テルモ・シューロ 撮影:ルイ・ポサス 出演:ジョゼ・アイロザ、グラシンダ・ナベ、ジョアン・ニコラウ、リカルド・グロス
© O Som e a Fúria | 2005

映画は夢を読み解く精神分析とは逆に、現実の問いに無意識を与える装置。30歳の節目に焦点を当て、感情的に未熟な男フランシスコが、癇癪や孤立を経て、子供時代の神話と向き合う。象徴的な7人のキャラクターが彼の内面の葛藤を投影し、彼は自己を見つめ直す旅に出る。彼が戻るとき、映画は終わっている。これは詩的な比喩ではなく、現実的に「幼さを葬る男」の物語である。

今日はフランシスコの三十回目の誕生日。カーニバルの日、彼はカウボーイの衣装を着て、子どもたちに囲まれた学校のパーティーに参加している──とはいえ、その子たちはあまり好きになれない。誕生日、仮装、騒がしさ、そして抑えきれない苛立ち。でも、それは彼が周囲に迷惑をかけていい理由にはならない。もしも“七人の小人”のような存在が、彼のそばにいてくれたなら。そう願いながら、彼は少しずつ、大人になる自分を見つめはじめる──「30歳までの顔は神に与えられたもの。30歳を過ぎたら人は自分に見合った顔になる」。

『私たちの好きな八月』AQUELE QUERIDO MES DE AGOSTO
[2008年/ポルトガル・フランス/150分]G
監督:ミゲル・ゴメス 脚本:ミケル・コメス、マリアナ・リカルド、テルモ・シェーロ 撮影:ルイ・ボサス 出演:ソニア・バンデイラ、ファビオ・オリベイラ、ジョアキン・カルバーリョ、アンドレイア・サントス
© O SOM E A FÚRIA 2008

2006年、撮影資金とキャストが不足し、予定されていた映画は延期に。監督は16ミリカメラと小さなチームで現地へ向かい、記録すべき瞬間を撮影しながら物語を再構築することを決意する。フィクションとドキュメンタリーの境界が揺らぐ中、『私たちの好きな八月』は、現実と幻想、音楽と愛のあわいに生まれた作品となった。物話の中ほどで、ひとつの橋が現れる。この橋が結ぶ両岸のどちら側からも、もう一方をはっきりと見渡すことができる。そして、その間を流れる川は、常に同じ川である。

ポルトガルの中心部、山々に囲まれた場所。8月という月は人々と活気に満ちている。移民たちは帰郷し、花火を打ち上げ、火事と闘い、カラオケを歌い、橋から飛び降り、イノシシを狩り、ビールを飲み、子どもをつくる。もし監督と撮影クルーが祭りに参加したいという誘惑に抵抗し、すぐに本題に取り掛かかっていたら、あらすじはこうなっていただろう。『私たちの好きな八月」は、バンドで演奏する父と娘、そして娘のいとことの間にある感情的な関係を描いている。つまり、愛と音楽の物語というわけだ。

監督 ミゲル・ゴメス Miguel Gomes

1972年ポルトガル・リスボン生まれの映画監督・脚本家。映画批評家としてキャリアをスタートし、短編映画の制作を経て2004年に『私に見合った顔』で長編デビュー。その後、『私たちの好きな八月』(2008)や『熱波』(2012)で国際的な評価を受ける。特に『熱波』はべルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し、その詩的かつ実験的な語り口で注目された。2015年の『アラビアン・ナイト』三部作では、現代ポルトガルの社会問題を幻想的に描き、話題を呼んだ。2024年、20世紀初頭のアジアを舞台にした最新作『グランドツアー』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で監督賞を受賞し、再び話題に。フィクションと現実が交錯する独創的な映像世界を構築している。

▼ミゲル・ゴメス監督 最新作『グランドツアー』についてはこちらから

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