映劇レポート:『時をかける少女』

お知らせ

「いつもと違う夏だけど、いつもより良い夏になればと思って企画しました」

こう語るのは、最近上田映劇に力を貸してくれている高校生のボランティアスタッフ。彼は同じ高校生に映劇や映画館で映画を観る楽しさを知ってほしいと、映画の上映を企画。企画の立ち上げから、作品選定を当館番組編成の原と共に、そして宣伝やチケット販売に挑戦しました。

候補作品を4つに絞り、クラスメイトや同じ高校の友人たちにアンケート調査を実施。その上で選んだ作品は、細田守監督作品『時をかける少女』(2006)。タイムリープという過去に飛べる能力を手にした女子高生・真琴のひと夏の青春を描いたアニメーション映画。「待ってられない未来がある。」高校生の今だからこそ観たい、等身大で感じられるものがたくさんある物語です。

企画から当日までの間に上田圏域における新型コロナウイルスの感染者数が増加し、開催できるかどうか危ぶまれましたが、何度も何度も検討を重ね、感染症対策をしっかり講じた上で開催。

当日は、高校生で溢れる上田映劇という珍しい光景がロビーに広がっていました。もしかしたら、上田映劇の扉を初めて開いたという子もいたかもしれません。どこかそわそわと落ち着かないような、わくわくしているようなそんな雰囲気が見受けられました。新型コロナウイルスで縮小された文化祭に対して何かできればということで、『時をかける少女』の本編上映前に、現代音楽班とダンス班の映像が流れました。映画館のスクリーンに映る学友は、彼らの瞳にどう映ったのでしょうか。映画館スタッフとしては、スクリーンに映る高校生たちの姿がとても眩しく、素敵だと思いました。また別の機会にスクリーンを通して、地元の高校生たちの頑張る姿を街の人々にも見てほしいと思っています。

上映終了後、劇場から出てきた高校生たちは「良かったね」「めっちゃ良かった〜!」と口々に映画館を後にして行きました。中には涙ぐんでいた子も。「もっと早く来ればよかった!」そう友達と話しながら他の映画のチラシを手にする子もいました。

最後にこの上映を企画した彼に感想をまとめてもらいました。

「コロナウイルスの感染拡大により、高校の文化祭が例年より大幅に縮小されたことから、何か少しでもできることがあれば、と思い始まったこの企画。まずは、上田映劇のスタッフさんをはじめ、多くの方々にわがままを聞いてもらいながらも、何とか終えられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
レンタルビデオ店で100円ほどで映画が借りられて、定額料金を払えば好きな映画が携帯で見られる時代、なかなか高校生が映画館で映画を見ることに魅力を感じないかもしれないし、そもそも映画を見ることすらあまり無いかもしれない。そんな人たちに一本の映画が持つ魅力であったり、自分の人生に与えてくれる影響、さらには映画館で映画を見た後のあの何とも言えない雰囲気を味わってもらかことができて何より嬉しいです。
これからも、上田の中高生がひとつ、映画というものを通じて、少しでも楽しんでもらえるように、いち高校生として出来ることがあれば何でもしていきたいと思います。」

いつもと違う夏だけど、上田の高校生たちが上田映劇で「時をかける少女」という作品に出会ってくれたことを私たちスタッフ一同、嬉しく思います。

そしてその機会を作ってくれた彼に心から感謝を。

この上映会は202097,8日に行われました。

【執筆者&カメラマン】もぎりのやぎちゃん

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