赦し

過去の上映作品
[上映日程]5/6~19(休映:5/8、15)

“人を赦さないならば、あなたがたの父も、あなたがたの過ちを赦さないであろう。”
(マタイによる福音書より抜粋)

殺された少女の家族。殺した17歳———。
人はどう赦し、生きなおせるのか。
『コントラ』のアンシュル・チョウハン監督が描く、現代の黙示録。

[INTRODUCTION]
未成年が引き起こした殺人事件、すなわち少年犯罪を題材にした『赦し』は、被害者遺族の元夫婦と服役中の加害者の女性それぞれの葛藤を見すえたサスペンスフルなヒューマン・ドラマである。最初の裁判で加害者の夏奈には懲役20年の重刑が課せられたが、事件の事実認定の正当性をめぐる再審公判が決定したことで、3人の心は激しく揺らぎ出す。殺人者は刑務所で罪を償うべきだという“正義”に固執する被害者の父親、克。一刻も早く過去を拭い去りたいと願う元妻の澄子。そして獄中で自らが犯した罪の重さを自問自答する夏奈は、それぞれが7年前の悪夢のような記憶に苛まれている。
本作はあくまでオリジナルのフィクションだが、実際の少年事件からもインスピレーションを得た物語は、このうえなく生々しい問題提起をはらんでいる。私たちの現実社会における同様の裁判では、愛する者を失った被害者遺族の心情に寄り添った厳罰主義がしばしば叫ばれるが、少年法は加害者の更生を重んじる理念を掲げている。ごく最近でも、民法上は成人となった18歳~19歳を新たに“特定少年”と位置づける改正が行われるなど、少年法をめぐる議論は絶えることがない。
被害者遺族と加害者双方の視点を取り入れた本作は、罪と罰という根源的な主題を鋭く探求しながら、観る者の感情にずしりと訴えかけてくる。癒やしようのない責め苦を負った者は、その罪や悲しみを乗り越えて生き直すことができるのか。人と人は互いにわかり合い、憎むべき相手をも受け入れることができるのか。魂の救済、赦しという深遠なテーマに真正面から挑んだ問題作が誕生した。

[STORY]
7年前に娘をクラスメートに殺害されて以来、現実逃避を重ねてきた樋口克のもとに、裁判所からの通知が届く。懲役20年の刑に服している加害者、福田夏奈に再審の機会が与えられたというのだ。ひとり娘の命を奪った夏奈を憎み続けている克は、元妻の澄子とともに法廷に赴く。しかし夏奈の釈放を阻止するために証言台に立つ克と、つらい過去に見切りをつけたい澄子の感情はすれ違っていく。やがて法廷では夏奈の口から彼女が殺人に至った動機が明かされていく…。

『赦し』
[2022年/日本/日本語/2:1/5.1ch/98分]
監督・編集:アンシュル・チョウハン
出演:尚玄、MEGUMI、松浦りょう、生津徹、藤森慎吾、真矢ミキ 
製作プロダクション:KOWATANDA FILMS、YAMAN FILMS
配給:彩プロ  
原題(英語題):DECEMBER
©2022 December Production Committee. All rights reserved 

[上映時間]

[公式サイト]
yurushi-movie.com

ピックアップ記事

関連記事一覧

Facebook